まれに「何もしないのにレンズに傷が付いた」というお客様がいらっしゃいます。そこで、考えられる原因を探ってみましょう。
1.「傷」
明らかに傷になる接触・打痕は、気付きやすい(?)のでここでは省略します。
細かい傷で多いのは「乾拭き」です。空気中には目に見えないチリ・ホコリなどが飛び交っています。特に屋外では、砂埃・鉄粉・黄砂などがレンズに付着してしまいます。
目に見えるものであれば気をつけますが、付着した状態でそのまま拭くと引きずるような傷が付いてしまいます。
メガネ拭きで綺麗にしているつもりでも、傷も付けてしまっています。
拭く前に、レンズの表面に付着しているかも知れない異物を振り払ってから拭いて下さい。メガネ拭きは、異物・汚れがレンズからメガネ拭きに移動しただけなのでマメに中性洗剤で洗って下さい。
出来ましたらメガネ拭きは、ハンカチと同じ様に毎日洗い替えしたものを使用することで傷のリスクが減少します。
一般的にレンズは、レンズ本体(基材)の上にハードコート+反射防止コート+撥水コートの順にコーティングされています。それぞれのコートは薄く、反射防止コートは1万分の数ミリ(薄すぎてピントきませんが)の非常に薄い膜です。
これ以上の厚さも、薄さも、本来の反射防止機能を発揮することが出来ません。
使用していて、目視で傷と確認出来なくても、顕微鏡で見れば多数の傷がついている事が多々あります。
そして限度を超える擦傷を受けると傷をコートに留めておくことが出来ず、基材にまで達しているものはハッキリと「目に見える傷」となり目立つ・気になる傷となってしまいます。
蓄積された細かい傷が、突然目に見える傷になって現れるので日頃のお手入れが重要になります。
そこで・・・
メガネのお手入れに際してのお願い
まず流水で表面の異物を洗い流し、油膜等は薄めた中性洗剤(食器洗い)を指先で撫でるように両面伸ばします。
再び流水で洗剤を洗い流します。(お湯はアウト。中性洗剤以外のハンドソープ・石鹸等もアウトです。酸性洗剤・アルカリ洗剤・有機溶剤・化粧品・果汁などもコーティングを溶解させコート剥げの原因となります。)
次にティシュペーパーで軽く押すような感じで水気を取る。
次にメガネ拭きで「軽く=サンドイッチをつまむくらいのやさしさで、強く拭く必要はありません」綺麗に拭き取ってください。
流水で洗い流しが出来ない場面では、表面の汚れを浮かび上がせるメガネクリーナを使用する。メガネクリーナが無い時は(あまり眼鏡屋が言うことでは無いですが)息を吹きかけて異物を落としてからより軽く拭いていただいた方がよろしいかと思います。
その他の傷の原因
レンズを下向きに置く、ケースに入れずにバックやポケットに入れてしまった、メガネケースに綺麗なメガネクロスをひかないで直に入れる等が傷の原因になります。
細かなキズがあると、汗、雨、湿気などの水分が入り込むことでコーティング層が浮きやすくなり、徐々に「はがれ」につながります。また、ヘアスプレー、整髪料、化粧品、洗剤などはコーティングにダメージを与えます。これらが付着したまま放置すると劣化が進行します。
2.クラック(ひび割れ)
クラックは、レンズに細かい線のようものが入った状態です。
熱の影響を受けてレンズが膨張し、表面のコーティングにひび割れが入る現象です。プラスチックレンズは基材の上に何層ものコーティングが施されています。プラスチックレンズに熱が加わると基材が膨張します。
しかしコーティングはほとんど膨張しないため地割れのようにひび割れてしまうのです。レンズが高温(60℃以上)にさらされたり、急激な温度変化にあった場合、フレームに圧力がかかりレンズに負荷がかかった時など生じます。
クラックを予防するためには・・・
車運転用として車内に放置されたメガネ・サングラス(ダッシュボードに入れてもアウト!です)
お湯で洗う・お風呂・ドライヤー・ストーブ・焼き肉の鉄板など) 使用年数に関係なく熱によりクラックが入ります。(やむを得ずお風呂に入る、仕事で冷蔵室に出入りする時は、使わなくなった古いメガネを使用してください。)
3.水焼け(水垢)
レンズの表面に雨などの水滴がついたまま放置すると、水滴に含まれる汚れが乾燥した後に水玉模様になって拭き取ってもとれない「シミ」になることがあります。
結論から申し上げますと、「傷」「クラック」同様、これを除去することはできません。
このシミが気になりレンズを強く拭くことによって、そこからレンズ表面のコーティングが剥がれ広がってしまうということになります。
濡れたまま放置・水滴がつき急劇に乾いてしまうスコール・ガーデニングの水やり・海辺の水滴など、特に注意が必要です。
ほとんどのレンズは、撥水コートがついていますので水滴をはじきやすくなっていますが、レンズを作成した時に比べて、1年経過したレンズでは表面のツルツル感は徐々に無くなっています。
レンズは紫外線にあたり、ある程度の温度差にも「耐え忍び」ながら経年劣化が進んできます。経年による「傷」「クラック」のリスクにも御注意いただければと思います。
4. 古い眼鏡を処分する前に
新しくメガネを作られた場合、前のメガネは処分せずに、予備(災害用)のメガネとして1本、スパなどのお風呂・庭いじり等用に1本の、最低でも2本を確保されることをお勧めいたします。
長々と、お付き合いありがとうございました。
